2023年度の第8回宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞が、下記のように決定しました。
宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞
栃木・宮沢賢治の会 様
1997年の創立以来、毎月例会として賢治作品の読書会等を行って通信を発行し、また毎年一般向けの交流会を開催して広く賢治に親しめる場を提供するなど、長年にわたり宮沢賢治の研究および普及活動を続けてきた功績に対して。
【選考理由】
「栃木・宮沢賢治の会」は、1997年5月に創立され、会員は現在40名余りである。毎月1回の「例会」では、『ちくま文庫版宮沢賢治全集』をテキストに、輪読や群読の形式も取り入れつつ、賢治の詩と童話を読み継いできた。時には「特別例会」として、県内各地の会場で講演会等も開催している。各例会の内容と会員の原稿を掲載した「通信」は、当初は「賢治さんのトランクからの手紙」、後に「ぎんどろ」と題され、本年300号に達した。
また、年に1回の「交流会」として、一般市民に賢治の作品や生き方に親しんでもらうための講演会も行っており、2021年には「100年流れる 宮沢賢治の豊かな世界」展を開催し、それまでの会の活動を紹介するとともに、宮沢賢治の作品や、栃木県とのかかわりなどについて展示を行った。
近年は、栃木県出身で賢治の主治医だった佐藤隆房医師や、盛岡高等農林学校で賢治らとともに『アザリア』を刊行した同級生小菅健吉氏を紹介する活動も積極的に行い、2017年には当センターと共催で、宮沢賢治地方セミナーin宇都宮「宮沢賢治と栃木」の企画運営を行った。本年1月には、『創立25周年記念 栃木・宮沢賢治の会の歩み』を刊行して、会の詳細な活動記録と、会員によるエッセイを収録している。
以上のような、宮沢賢治に関する長年の精力的な研究活動と普及活動は、功労賞にふさわしい。
米澤ポランの廣場 様
1990年の創立以来、毎月担当制で賢治作品の読書会を行って通信を発行し、数年ごとに研究成果を記念誌にまとめ、一般向けにも賢治にちなんだ創作アート展を開催するなど、30年以上にわたって宮沢賢治に関する研究と発信を続けてきた功績に対して。
【選考理由】
「米澤ポランの廣場」は、1990年6月に創立され、会員は現在10名余りである。毎月開催する賢治作品の読書会を「廣場」と位置づけ、担当制で詩や童話を読んで、自由な討論を重ねている。これまでに繰り返し取り上げて、議論を深めている作品も数多い。毎月の「廣場」の内容を報告する「通信」は、まもなく400号に到達する。
また数年ごとに、記念の小論集『米澤ポランの廣場』Ⅰ~Ⅷを発行しており、その内容は各会員による研究エッセイ的小論、通信のバックナンバー、廣場の記録、読書会で取り上げた作品一覧、会員の合同句集、会員プロフィール、廣場スナップ等で構成され、会員間の緊密な繋がりがうかがわれる。
2006年には、「色、形、音、光…展●宮澤賢治へのオマージュ」と題して、会員による宮沢賢治にちなんだアート作品展を開催して、会員と一般来場者の交流を行っており、これは全国の賢治関連団体の中でも、ユニークな活動である。
以上のように、宮沢賢治の作品や人間性に触発された地道な活動を多年にわたって積み重ね、その成果を独自の創作活動で発信してきた功績は、功労賞にふさわしい。
贈呈式について
賞贈呈式は、令和5年9月22日(金曜)午後に、花巻市定住交流センター(なはんプラザCOMSホール)で開催します。
贈呈式の詳細については、後日、改めてお知らせいたします。