宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞

 「宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞」は、宮沢賢治の存在と作品に触発されて、多年に渉り様々な普及や研究活動を重ねてきた個人または団体を顕彰するために、2016年に当センターが創設した賞です。

 毎年9月22日の宮沢賢治学会イーハトーブセンター定期大会において、表彰式が行われます。

【主催者】 宮沢賢治学会イーハトーブセンター
【選考】 宮沢賢治学会イーハトーブセンター賞選考委員会
【選考方法】 会員から推薦された個人・団体を、選考委員会にて選考し、理事会が決定する。
【選考対象 および基準】 宮沢賢治の人と作品や精神の普及または研究の推進に寄与する活動(花巻市が主催するイーハトーブ賞の基準となる実践的な活動を除く)を行っている個人または愛好団体・研究団体等の団体。
【表彰式】 定期大会において、代表理事が賞状および副賞を授与する。

宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞の過去の受賞者一覧

宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞の趣旨

 平成27(2015)年9月22日の第26回定期総会の議案第3号により、宮沢賢治生誕120年を期して「宮沢賢治学会イーハト-ブセンター功労賞」による「宮沢賢治の存在と作品に触発されて、多年に渉り様々な普及や研究活動を重ねてきた個人または団体を対象に」その功績を表彰することが承認されました。

 この賞を設定することが提起されるに至った事情は、おおよそ次の様なことです。

 平成3(1991)年以来、花巻市の委嘱を受けて宮沢賢治学会イーハトーブセンターが選考を行ってきました「宮沢賢治賞」・「イーハトーブ賞」もすでに四半世紀を越え、質の高い優れた業績を世に知らしめる成果を重ねて参りました。

 一方、宮沢賢治学会イーハトーブセンターは、設立の基本精神として、市民学会としての特質を掲げています。すなわち、世上一般に存在する学術的な学会としての特質はもちろんのこと、老若を問わず、専門的な学術的トレーニングの有無などを前提にせず、誰でも入会でき、愛好者としての交流の場を通じて、互いに宮沢賢治の存在に触発される楽しさを共にして支えあう市民学会としての特色です。私たちはこれを見失うことのないように、さまざまに活動して参りましたが、この間、時を重ねる中で、各地におけるいろいろな方々・諸団体の地道な、多年にわたる活動の情報も、たくさん得ることができるようになりました。
 そこで、宮沢賢治生誕 120 年を好機として、それらの活動を世に広く伝え、宮沢賢治との出会いの喜びを分かち合い、多年の活動に感謝するとともに、互いの今後の活動への励ましにしたい、と考えるに至ったのです。

 もとより、賢治さんの精神に照らして考えるに、優劣をつけることを目的にするつもりはありません。また、贅沢な予算を費やす余裕もありません。しかし、そこは学会として、知恵と質の高さを備えた会員を擁していますので、「副賞」は、優れた伎倆と経験を積んだ会員の中の三人の芸術家が、本功労賞の意義を多として、全面的に協力してくださいました。賢治作品に因んだ、質高く、楽しい、驚きと機知に富んだ本物の作品をセットで贈呈します。

 平成28 年9月 22 日
 宮沢賢治学会イーハトーブセンター代表理事 栗原 敦

副賞について

 宮沢賢治学会イーハトーブセンター功労賞の受賞者には、宮沢賢治の童話にちなんだ次の三つの品々が、副賞として贈られます。

貝の火

【制作者】安斉 重夫

【制作の意図・趣旨】 この作品は賢治さんの童話「貝の火」の主人公、子供のウサギの「ホモイ」です。今、動物界の王様から宝石を頂いたところの情景を作品にしました。

塩鮭のあたま

【制作者】栗原 俊明

【制作の意図・趣旨】 「しもつかれ」という郷土料理がある栃木県人にとって、〈塩鮭のあたま〉は廃棄するどころか馴染み深い貴重な食材です。〈鮭の頭でなくて、まあよかった〉と思う山猫の気持ちがよく解ります。
 テラコッタの小さな作品でという注文に、それでは鮭ではなく鱒にしか見えないのではないかと当初は心配でした。生ではない塩鮭の感じをどのように表現するか、あれこれ悩んでエスキースを6、7点制作しました。なんとかそれらしい雰囲気は出せたかなという気がします。功労賞を受賞された方に喜んで、楽しんで(面白がって)いただければ幸いです。

黄金きんのどんぐり五勺桝入り

【制作者】外山 正

【制作の意図・趣旨】 台風一過の翌朝。風雨に洗われたどんぐりが日光を受けてシイの木の下に輝いています。どんぐりは天然物の割には形状が整っており、これを好きな人は多いでしょう。どんぐりを話題にした作品は賢治さん以外にも歌などにありますが、私も小さい頃の記憶を思えば、わざわざきんいろでなくても、十分にほしいものでした。このどんぐりに対する気持ちをうまく拾い上げて作品にしたのが「どんぐりと山猫」で、とても不思議なお話です。よくよく考えてみると何がどうということのないお話ですが、賢治さんのお話の中でもかなり上位に位置する作品だと思っています。それは、やはり光り輝くどんぐりの魅力をうまく掴んでいるからだと思います。
 副賞のどんぐりのきんいろは本物のきんいろです。すごい輝きだと思います。

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